Lesson 657
明らかにおもしろくなさそうなジョークを聞かされた時、どうしてますか?「おもしろくない」とわかっただけでも立派ですが、どうせなら受け流してしまいましょう。その方法、伝授します。
繰り返し聴いて英語の自然なリズムを身につけましょう。
It's Ken's first day back to the office from the long vacation. Ken meets his colleague Claire.
Claire: Hi, Ken! Welcome back! I thought you’d never return!
Ken: Hi, Claire. Yeah, there was this beautiful girl I met in Paris, and I thought I might stay there. Then I realized so many girls would be missing me at home.
Claire: Uh-huh.
Ken: So what’s new around here?
Claire: Here? You mean outside Europe or in this office?
Ken: The latter, I suppose. Anything exciting that you’d like to fill me in on?
Claire: Actually, there is. Because a survey has found out our readers are considerably interested in language learning, Richard (editor in chief) has decided to start a new column featuring expert linguists.
Ken: And he wants me to be in charge of the column?
Claire: No, he himself will be, because he’s determined to make it the magazine’s drawing card.
そのまま使える便利なフレーズを覚えましょう。
There was this beautiful girl I met in Paris, and I thought I might stay there. Then I realized so many girls would be missing me at home.
(パリできれいな子に会ってね、パリに居残ろうかとも思ったんだ。でもふと、故郷には僕の帰りを待ちわびている女の子が大勢いることに気づいてね。)
英語のジョークは時に、どんなに日本語に翻訳しても日本人には伝わりきらない「温度差」があるのですが、これがいい例です。ケンが、パリで美女に会って…というくだりはまったくのフィクションで、クレアが「もう帰って来ないかと思った」と(こちらも冗談を)言ったのでこう切り返したのです。こういう、思わず「あっそ」と言ってしまいたくなるような冗談を英語ネイティブの人はよく口にします。日本語にしてしまうと「???」となってしまう戯言も、英語だと会話のスパイスになるのですね。このように相手に切り出された場合にはクレアのようにUh-huh.と軽く受け流すのがお約束です。逆に「え?そんな美女に会ったの?」だの「誰も故郷にはあなたのことなんか待ってないわよ!」と返してしまうと相手に「コイツ、ジョークがわかってないな」と思われてしまいます。言葉の壁以上にカルチャーの壁は厚い…です…
とこう書くとしかし、非常にdiscouraging(やる気をそぐような)ですよね。そうではないのです。壁が厚いからこそやりがいがある!のです…なんだかマゾヒスティックにも響いてきましたが…
Anything exciting that you'd like to fill me in on?
(ご説明いただけるようなおもしろいことはない?)
fill 人 in on …で「誰々に…について説明する、教える」という意味になります。fill inは「(空欄などを)うめる」ということですから「その人の知らない部分をうめてやる」という意味があるのですね。
Ex) Let me fill you in on something.
(ちょっとご説明したいことがあるんですがね。)
And he wants me to be in charge of the column?
(それでリチャードは僕にそのコラムの責任者になってほしいっていうわけか?)
be in chargeは「〜の責任者である」ということ。
Ex) Who's in charge here?
(ここの責任者は誰ですか?)
He's determined to make it the magazine's drawing card.
(彼はこのコラムを我が雑誌の目玉にするって意気込んでいるのよ。)
determinedは「やる気満々である」という意味。drawing cardは「呼び物、目玉商品」。「呼び物」には他にもhighlightやpopular attractionなどがありますが、いずれもショーなどのイベントに使う言葉で、雑誌などには向きません。
Ex) His singing was the highlight of the event.
(彼の歌がイベントの呼び物だった。)
英文と比較して内容をしっかり確認しましょう。
ケンは今日が、長期休暇後はじめての出勤日。同僚のクレアに会う。
C: あら、ケン!おかえり!もう帰って来ないかと思ったわ!
K: ああ、クレア。そうなんだ、パリできれいな子に会ってね、パリに居残ろうかとも思ったんだ。でもふと、故郷には僕の帰りを待ちわびている女の子が大勢いることに気づいてね。
C: なるほどね。
K: 最近この界隈はどうなの?
C: この界隈?ってヨーロッパ外ってこと?それとも会社ってことかしら?
K: 後者だと思いますけど。ご説明いただけるようなおもしろいことはない?
C: それがあるのよ。うちの(雑誌の)読者が言語学習にひどく関心があるってことがアンケートでわかってね、それで(編集長である)リチャードが、語学のプロの人たちを扱った新コラムを立ち上げるって決めたのよ。
K: それでリチャードは僕にそのコラムの責任者になってほしいっていうわけか?
C: 違うわよ、リチャード自ら責任者になるの、彼はこのコラムを我が雑誌の目玉にするって意気込んでいるのよ。
英語では何と言うでしょう?
まあまあです。