Lesson 663
母国語(皆さんの場合はおそらく日本語)は語学学習の最強のツール。どんどん使った方がいいのですが、どうやらイディオムを覚えるときだけは日本語を使わない方がいいみたいです。でもどうして?
繰り返し聴いて英語の自然なリズムを身につけましょう。
Claire is interviewing grammarian Dr. Sutherland for a magazine column. She's asking him a question raised by one of its readers.
Claire: Here’s a question from our reader: Dr. Sutherland said it’s a good idea to copy a whole sentence or phrase from books etc. and put them in vocab books. He also said we should use our native language when studying a foreign language. Should we put translations when copying sentences and phrases in our vocab books?
Sutherland: That’s a very good point. As a general rule, I advise her…is it her?
Claire: Yes, it’s Miss.
Sutherland: OK. I advise the lady not to include translations, when it comes to sentences and phrases. This is because these phrases and sentences often include idiomatic expressions, many of which would not lend themselves to literal translation.
Claire: I see.
Sutherland: “Lend itself to” is a good example. It means “adapt easily to”. Suppose I’m a Japanese native speaker who is studying English and comes across “lend itself to” when reading your magazine, this interview. The first thing I do is to look it up in an English-Japanese dictionary, which tells me the phrase means “ni-tekishite-iru”. OK. I got it. Next, I copy the whole sentence, or part of the sentence, which would be “expressions, many of which would not lend themselves to literal translation”. By copying the context, I would know, for later use, “lend itself to” should have such and such a subject, and the word “to” is to be followed by a noun.
Claire: Yes.
Sutherland: And I wouldn’t put its Japanese translation along with the original phrase, because I don’t want to be thinking in Japanese when I study it later…in other words, I want to grasp its meaning not through its translation but as a kind of nonverbal experience. You know what I mean?
そのまま使える便利なフレーズを覚えましょう。
I advise the lady not to include translations, when it comes to sentences and phrases.
ladyもwomanも女性を指す言葉ですが、womanが単に「女性」というのに対してladyは「ご婦人」という感じです。したがって、今回のような文脈以外では最近はあまり使われなくなりました。
This is because these phrases and sentences often include idiomatic expressions, many of which would not lend themselves to literal translation.
(なぜかと言うと、こういったフレーズや文章には往々にしてイディオムが含まれていて、イディオムはそのまま直訳できないものが多いのです。)
lend itself toは後に本文にも登場しますが「〜に適している」。その他にも「〜に結びつく」という意味があります。
Ex) Dieting could lend itself to serious illness.
(ダイエットは深刻な病気に結びつき得る。)
By copying the context, I would know, for later use,
(文脈を写すことで、後に使用する際に、"lend itself to" というのはこういう主語を持たなければいけないんだとか、toの後には名詞が来なければいけないんだということがわかるんです。)
for later useは「後で使用する時のために」という文字通りの意味です。
Ex) I've been collecting data for late use.
(後々のためにデータを集めているんだ。)
I want to grasp its meaning not through its translation but as a kind of nonverbal experience.
(そのフレーズの意味を訳を通してではなく、一種の非言語経験として把握したいんです。)
これはもう少し説明を要するかもしれませんね…英語をある程度勉強した人であれば、例えばdogという言葉を目にした時にいちいち日本語の「犬」に置き換えて理解するなどということはしないと思います。「犬」と言われる動物を見ればとっさにdogという英語が頭に浮かぶはずです。ここでは、対象を目にする→日本語で考える→英語に訳す、という三段階の面倒くさいプロセスは見られません、皆さんがおこなっているのは、対象を目にする→寸時に該当する英単語が出てくる、という瞬間芸(?)なのです。これと同じことを、もっと複雑なフレーズでも行ないたい、というのがサザランド博士の意図です。lend itself toというフレーズを目にした時に「適している」という日本語が浮かぶのではなく、最終的には「適している」という意味合いの情景、状況がすぐ思い浮かべばいい、ということですね。それをしてnonverbal experienceと言っているのです。
英文と比較して内容をしっかり確認しましょう。
クレアは雑誌のコラム用に文法学者のサザランド博士をインタビューしている。彼女は博士に、読者から寄せられた質問をしている。
C: 読者の方からの質問です:サザランド博士は、本等から一文まるごと、あるいはフレーズ全体を単語帳に写すのがいいとおっしゃっていました。また、外国語を学ぶ際には自国語を使うべきだともおっしゃっていました。単語帳に文やフレーズを写す際にも訳をつけた方がいいのでしょうか?
S: 重要な点ですね。原則としては、彼女には…彼女、でよろしいんですか?
C: はい、女性の方です。
S: そうですか。そのご婦人には、文やフレーズの場合には訳をつけないことをおすすめします。なぜかと言うと、こういったフレーズや文章には往々にしてイディオムが含まれていて、イディオムはそのまま直訳できないものが多いのです。
C: なるほど。
S: “Lend itself to”はいい例ですね。「に適している」という意味ですよね。私が日本語のネイティブスピーカーで英語を勉強しているとしましょうか。あなたの雑誌、つまりこのインタビュー記事を読んでいて “lend itself to” という表現にぶちあたったとします。私はまず、英和辞典でこの表現の意味をひきますね、辞書によると、これは「に適している」とある。なるほど、そういう意味か、と思うわけです。 次に、その表現の含まれる文全体、あるいは文の一部を書き写します、写すのはこんな感じになりますね、 “expressions, many of which would not lend themselves to literal translation”. 文脈を写すことで、後に使用する際に、”lend itself to” というのはこういう主語を持たなければいけないんだとか、toの後には名詞が来なければいけないんだということがわかるんです。
C: ええ。
S: そして、この英語のフレーズには日本語訳をつけないんです、なぜなら、後で学ぶ時に、日本語で考えたくないから…他の言い方をすれば、私は、そのフレーズの意味を訳を通してではなく、一種の非言語経験として把握したいんです。言っていること、おわかりですか?
英語では何と言うでしょう?
コーヒーでも飲んでいきませんか。