Lesson 675
長文読解力を上げるには、長文を「訳す」ときのちょっとしたコツがものを言います。独学でもできるオススメの勉強法からオススメの辞書まで、目からウロコ、の長文読解攻略法(後編)は以下の会話で。
繰り返し聴いて英語の自然なリズムを身につけましょう。
A Japanese woman Yoko is thinking of going to a graduate school. She asks her English teacher, Mr. Patterson, for advice. He says it's important to "write down" your translation when you read English sentences.
Yoko: Why is the “writing” part so important?
Patterson: Because sometimes you don’t realize you’ve miscomprehended the sentence or your translation doesn’t make sense, until you actually write it down on a piece of paper.
Yoko: Oh…I see.
Patterson: Suppose you have a sentence, “I’ve picked up on that”. When you read it, you might think, “Oh, it means ‘watashi wa sore o hirotta'”. This translation is wrong, because it doesn’t translate the word “on”. People like you…someone who has lived in America for some time and thinks she’s pretty good at English…often unknowingly take away or add certain words when reading, in order to “suit” what she wishes the sentence to mean. Herein lies the rub.
Yoko: Oh…you’re right. I sometimes create my own meaning!
Patterson: The reason why the translator missed the word “on” is that she saw the phrase “pick up” and thought, “Oh, I know this idiom”, and translated it as “hirotta” without a second thought. But eventually, you would realize your original translation doesn’t fit in the context. This realization is very important because then, you can go back to square one and become more flexible. When you’re stuck, try every possible translation, every possible way to “cut” the sentence into chunks. OK…you think there might be an idiom “up on” or, why not “pick up on”? Does “that” mean something special here?…etc. You question yourself over and over until you finally get the answer: I’ve/picked up on/that, meaning “wakatta”. Of course, reading comprehension contains a lot longer and complicated sentences but the logic is the same: try every possible way to cut every sentence into segments and write translation down until you have a satisfactory answer.
Yoko: I understand.
Patterson: Now, you can’t explore such possibilities without a good dictionary. Dictionaries of poor quality can discourage students. Here’s my list of recommended English-Japanese dictionaries for entrance exams: Genius by Taishukan, and Progressive by Shogakukan…these two are good for students who are not 100% sure about the grammar. The number of entries is not so large, yet they both provide excellent grammatical explanations. Whereas, Readers by Kenkyusha has 270,000 entries. Reading comprehension of entrance exams often include big words, 99% of which you’d find in this amazing dictionary. And the words you can’t find in Readers, you should look up in Kenkyusha’s Daieiwa dictionary. Every big library in town houses this huge dictionary, so you don’t need to buy it.
そのまま使える便利なフレーズを覚えましょう。
I've picked up on that.
(私はそのことに気づきました。)
後半で登場するように、pick up onはイディオムで「…だと(すぐに)わかる、気づく」という意味。
Herein lies the rub.
(ここに難しさがあるんです。)
hereinは「ここに」、rubは「難しさ」。rubはあの有名なハムレットのTo be, or not to be(生きるべきか死ぬべきか)で始まる独白にも登場します(ay, there's the rub)。
She saw the phrase
(pick upというフレーズを見て「ああ、このイディオムなら知ってる」と、深く考えもせずに「拾った」と訳してしまったのです。)
a second thouhgtは「再考」。以下のような使い方もよくします。例の場合にはaがつかないことに注意。
Ex) On second thought, it wasn't so bad.
(よく考えてみたら、そんなに悪くなかった。)
You can go back to square one and become more flexible.
(振り出しに戻ってもっと柔軟になれる。)
square oneは「出発点、振り出し」。すごろくの出発点、というのが語源のようです。
Try every possible way to cut every sentence into chunks and write translation down until you have a satisfactory answer.
(満足のいく答えが出るまで、全ての文をありあとあらゆる方法で色々な文節に区切ってみて、訳を書き出す。)
segmentは「文節」。
長文読解は言ってみればジグゾーパズルのようなものです。英語というのはきわめて論理的に構築されているので、無駄な言葉などひとつもありません。単語同士の「組み合わせ」をかけちがえると全貌も見えないし、行き場のないピース(単語)が出てきてしまいます。でも、がんばって組み合わせを色々試してみて、それが全てぴたっとはまると、意味がわかります。パズルが完成したときのような爽快感があります。がんばってください!
英文と比較して内容をしっかり確認しましょう。
日本人女性のヨーコは大学院に行こうかと考えている。そこでヨーコは彼女の英語教師であるパターソン氏にアドバイスを求める。彼は、英文を読む際には自分の訳文を「書く」ことが重要だと言う。
Y: なぜ「書く」ということがそんなに重要なのですか?
P: なぜなら、紙に実際に書いてみないと読み違えてしまった、とか、自分の訳文が意味をなさない、といったことに気がつかないことがあるからです。
Y: はあ…なるほど。
P: たとえば “I’ve picked up on that”という文があったとします。読んだ時にあなたは「ああ、これは『私はそれを拾った』という意味だ」と思うかもしれない。 この訳は間違ってますね、なぜならonという言葉を訳していない。あなたみたいな人…つまり、アメリカにしばらく住んで英語はけっこうできると思っている人…はしばしば、自分が「こういう意味であってくれたらいいな」と思う意味に合わせようとして、読む際に知らず知らずの内に言葉を引いたり足したりしてしまうんです。ここに難しさがあるんです。
Y: あら…その通りです。私、時々自分で意味を作っちゃってます!
P: onを抜かしてしまったのはなぜかというと、pick upというフレーズを見て「ああ、このイディオムなら知ってる」と、深く考えもせずに「拾った」と訳してしまったからです。でもいずれ、最初の訳はコンテクストにあてはまらないと気づきます。この、気づくということはとても大事なんですよ、なぜかというと、そうすることで振り出しに戻ってもっと柔軟になれるからなんです。つまづいたら、考えうる限りの訳をやってみる、その文を色々な「かたまり」に切り分ける、ありとあらゆる「切り方」を考えてみればいいんです。いいですか…そうするとup onなんてイディオムもあり得るのではと考えたり、pick up onっていうのはどうだろう、thatというのはここでは特別な意味があったりするのか?などと考えが出てくるわけです。自問し続けてやっと最後に答えが出るんですよ:そうだ、I’ve、picked up on、thatと切って、意味は「わかった」だな、と。もちろん、長文読解にはもっと長くてもっと複雑な文章が出てきます、けれども、理屈は同じです:すなわち、満足のいく答えが出るまで、全ての文をありあとあらゆる方法で色々な文節に区切ってみて、訳を書き出す。
Y: わかります。
P: さて、良質の辞書なしにはこういった可能性を探求することはできません。質の悪い辞書は勉強する人のやる気をそいでしまうこともあります。入試のためのおすすめの和英辞書をお教えしておきましょう。大修館の「ジーニアス英和辞典」と小学館の「プログレッシブ英和中辞典」は文法に今ひとつ自信がないという人におすすめです。収載語数はそれほど多くはありませんが、どちらもすばらしい文法説明がほどこされています。その点、研究社の「リーダーズ英和辞典」は収載語数 270,000です。入試の読解問題は難しい語が含まれているものも多いですが、その内99% はこのすばらしい辞書に載っているはずです。「リーダーズ」にないものは研究社の「大英和辞典」で調べればいいでしょう。街中の大きな図書館は全てこの巨大な辞書を置いていますから、買う必要はありませんよ。
英語では何と言うでしょう?
仕事の調子はどうですか?