Lesson 694
「すばらしかったですよ」と相手に賛辞を述べたいときI was impressed.と言っていませんか?実はこれ、時と場合によっては失礼にあたることもあるんです。
繰り返し聴いて英語の自然なリズムを身につけましょう。
Claire has just finished her presentation. It's now a coffee break, and Tony, who reports to her, approaches.
Tony: Claire! Your presentation was absolutely wonderful!
Claire: Oh, thank you, Tony.
Tony: Honestly, Claire, I was impressed! I’m honored to have you as my boss!
Claire: Oh, Tony, don’t…sorry, will you excuse me? I just remembered I left something on my desk. (Claire leaves and bumps into Ken, her colleague.)
Ken: That was a nice thing, Claire. Your hard work has paid off, huh?
Claire: Do you really think so?
Ken: Of course. I was impressed.
Claire: Now you can say that. Because you’re my peer. Would you ever let your subordinates say “I’m impressed” with your work? I wouldn’t.
Ken: Uh…I don’t know. I think it depends. What’s up, Mama?
そのまま使える便利なフレーズを覚えましょう。
Tony, who reports to her, approaches.
(彼女の部下のトニーが近づいてくる。)
report to〜は「〜の直属の部下である」ということ。「部下」という意味の単語には後に登場するsubordinateもありますが、report toやwork for(report toの方がより固い響きです)の方がよく使われます。
I was impressed! I'm honored to have you as my boss!
(感心しちゃったよ!クレアみたいな人を上司に持って光栄です!)
be impressedは「感心する」ということですが、日本語でも「感心する」は自分よりも下の人間に使いますよね。トニーは自分の立ち位置わかっていないようです…
それに対して、be honored to(〜できて光栄です)はへりくだった表現です。現アメリカ大統領のバラック・オバマ氏がまだ大統領候補だった頃、同じく候補者のヒラリー・クリントン氏とテキサスでディベートを行ないました(2008年2月)。このあたりからヒラリー氏の情勢が危ぶまれてきたのですが、このディベートが終わったとき、ヒラリー氏はI'm honored to be here with Barack Obama.(バラック・オバマとディベートができて光栄です)と発言。これが多くのアメリカ人にはヒラリー氏の「敗北宣言」と映りました。ヒラリー氏が果たしてどういう意図でこう発言したかは謎ですが(社交辞令のようなものだったとも思えます)多くの人が「敗北宣言」という印象をもったということからもI'm honored… というフレーズの持つカラーというものがおわかりになるかと思います。
Will you excuse me?
(ちょっと失礼。)
席を外したりする時によく使う表現です。
Your hard work has paid off, huh?
(がんばった甲斐があったね?)
pay offは「報われる」。huh?は「だろ?でしょ?」。カジュアルな表現なのでくれぐれも上司には使わないで下さい。
Now you can say that. Because you're my peer.
(ケンは(・・・)そう言ってもいいのよ。だってあなたは(・・・・)私の同僚だから。)
部下のトニーから同じくI was impressedと言われたことを受けてクレアはこう言っているのです。peerは「同輩」。今回のように「同僚」という意味にも、「同級生」という意味にも使えます。
Ex) He was more athletic than any of his peers.
(彼は同級生の誰よりも運動神経がよかった。)
What's up, Mama?
(どうしたの、ママ? )
アメリカでは、会社などで地位が比較的高い女性(例えばクレア)は「母親」としてまわりの男性から見られることが多いそうです。なんでもやってくれる「優しい母親」というよりも「ガミガミうるさい母親」というイメージに起因するようです…ケンはもちろんクレアに対してネガティブなイメージは持っていません。ここではあくまでもジョークとして言っているのです。
英文と比較して内容をしっかり確認しましょう。
クレアはプレゼンを終えたばかり。今はコーヒーブレーク中。彼女の部下のトニーが近づいてくる。
T: クレア!さっきのプレゼン、本当にすばらしかったよ!
C: それはありがとう。トニー。
T: 本当に、クレア、感心しちゃったよ!クレアみたいな人を上司に持って光栄です!
C: あら、トニー、いやだわ…ごめんなさい、ちょっと失礼。デスクに忘れ物しちゃったの思い出したわ。(クレアは立ち去り、そして同僚のケンにばったり会う。)
K: さっきのプレゼン、よかったよ、クレア。がんばった甲斐があったね?
C: 本当にそう思う?
K: もちろん。やるねぇ、って思ったよ。
C: ケンは(・・・)そう言ってもいいのよ。だってあなたは(・・・・)私の同僚だから。部下に、あなたの仕事ぶり、「感心しました」って言われても気にならない?私はイヤだわ。
K: えー…わからないなぁ。時と場合によると思う。どうしたの、ママ?
英語では何と言うでしょう?
順調です。