つかえる英会話Daily / Travel

Lesson 685 上級

イギリス人がイラっとくる表現

格調高きイギリス英語…ですが、当然のようにその英語の中にもイギリス人をイライラさせる「嫌われ者フレーズ」があるのだそうです。2008年暮れにオックスフォード大学の研究者が発表した「皆がイラッとくるフレーズ・ワースト10」をすべて盛り込んだ「イライラ会話」はこちら。

Dialog

繰り返し聴いて英語の自然なリズムを身につけましょう。

Claire and her colleague Ken are talking at the office.

Ken: You look busy, Claire…are you all right?

Claire: Oh, it’s a nightmare! I’ve been working 24/7 for what…oh, I’m so tired I can’t even calculate!

Ken: What’s making you so busy anyway?

Claire: You remember what Terry brought up at a meeting some time ago? Well, I agree that his proposal for a new column about environmental issues is fairly unique, but whether his proposal is feasible or not is absolutely another question. Because Richard (their boss) has OK’d the plan and appointed me as a girl in charge, I’ve been suffering—really, a lot. I complained to Richard, who said, thankfully, “It’s not rocket science, is it?”

Ken: Oh, no…

Claire: Ken, I really shouldn’t of let Terry brag about his proposal at the meeting. I should have said, “With all due respect, I personally believe your proposal is not as easy to realize as it may sound to your ears.”

Ken: Why don’t you look at the whole thing this way? I mean, I’m sure at the end of the day, you’ll make the infeasible thing feasible, and then you’ll grow into an even more able editor.

Claire: So you’re saying I’m capable of becoming more able than what I already am at this moment in time?

Explanations

そのまま使える便利なフレーズを覚えましょう。

It's a nightmare!

(もう悪夢!)
イラつきフレーズその1。Nightmareの本来の意味は「悪い夢」ですが、夢とは関係なく「最悪なこと/事態」という意味で用いることがよくあります(日本語でも同じですね)。どうやらイギリス人はアメリカ人よりもこのフレーズを多用し過ぎるようで、このフレーズ自体には実はなんの罪もないのですが、使われ過ぎて手あかがついて人々をイライラッ!とさせてるのだとか。
今回ご紹介する「嫌われフレーズ」の嫌われる理由は1)多用され過ぎたから嫌われる、2)文法/語義的におかしいから嫌われる、の二つだそうです。

I've been working 24/7.

(私、24時間ずーっと働いているのよ。)
イラつきフレーズその2。24/7はtwenty four sevenと読みますが、「しょっちゅう」「24時間毎日」という意味で会話でよく使われます。この表現も使われ過ぎて(それにちょっと大ゲサ)嫌われてるんですね。

I agree that his proposal for a new column about environmental issues is fairly unique.

(彼の言う、環境問題に関する新コラムはかなりユニークだっていうのは認めるわ。)
イラつきフレーズその3。uniqueとはそもそも「他に類を見ない、唯一の」という意味で「独特」なわけですから、それにfairly(かなり)という程度を表す副詞をつけるのはナンセンス、というわけです。

Whether his proposal is feasible or not is absolutely another question.

(彼の提案が実行可能かどうかっていうとそれはまったくもって別の問題なの。)
イラつきフレーズその4。absolutely(絶対に、まったく)という言葉は非常によく使われます。これも、言葉自体には罪はありません、多用され過ぎて意味が「絶対」っぽくなくなって来てるのでしょうね…だから嫌われる。

It's not rocket science, is it?

(「そんなに難しいことじゃないだろう?」)
イラつきフレーズその5。rocket scienceはもちろん「ロケット科学」という意味ですが、転じて「非常に難しいこと、問題」を指すようになりました。まあ、大げさすぎるというか、使われ過ぎて手あかがついちゃったというか…だから嫌われる表現、なのです。

I really shouldn't of let Terry brag about his proposal at the meeting.

(本当にミーティングでテリーに企画のことを自慢げに話させるべきじゃなかったのよ。)
イラつきフレーズその6。なぜこれが嫌われるかはおわかりですね?shouldn't haveというべきところがshouldn't ofになってしまっている。文法的にまるで間違っていますよね。会話ではよくhの音が抜け落ちてしまう(I told himがI told ‘imという発音になったりする)ので、haveが「アヴ」という発音になり、そのアの音がofの最初の音に似ているところからこうつづられてしまうのです。

(「失礼ですが、あなたの提案はご自分で思ってらっしゃるほど実現するのが容易じゃないと個人的に私は思います。」)
イラつきフレーズその7。With all due respect(直訳は「全ての払われるべき尊敬の念をもって」)は「失礼ながら、お言葉を返すようですが」。相手に反論する際の丁寧な枕詞ですが、これが嫌われるのは、「やり過ぎ」だから。
dueは「全て、支払われるべき」という意味なので、これにallをつけるのは過大修飾というもの。With all all respectと言っているのと同じようなことですね。
さらにイラつきフレーズその8はI personally。これも表現が重複しているので英語的にはおかしいのです。Iとすでに言っているので「個人的に」考えていることややったことに言及するに決まっている。なのにそこにご丁寧にpersonallyをつけているからおかしいのです。ただ、個人的には、(この日本文がそうですね) Personally, Iと言うのは場合によっては許されると思います。

Ex) Everyone knows the biggest ability you have is in negotiating. But personally, I think you have other better abilities.
 (あなたは交渉するのが何よりも得意だって皆知っているわ。でも、個人的には,私はあなたはさらにすばらしい能力を持っていると思うの。---注)
一般論と比較して「でも私は違う」ということを強調したい時にpersonallyと前置きをして、ひと呼吸おいてからI think…というのは効果的に響きます。

I'm sure at the end of the day, you'll make the infeasible thing feasible.

(結局のところ、クレアは実現不可能なことを可能にするはるだから。)
イラつきフレーズその9。at the end of the day(最終的には、結局)は文法的にはまちがっていません。ただ多用され過ぎて嫌われている…のでしょう。At the end of the dayの本来の意味(一日の終わりに)という意味で使われることももちろんあります。
Ex) I was so tired at the end of the day.
 (一日の終わりにはひどく疲れていた。)

So you're saying I'm capable of becoming more able than what I already am at this moment in time?

(今現時点の私よりもさらに有能になるなんてことがそもそも可能だって言うわけね?)
イラつきフレーズその10。at this moment in timeは「馬から落馬する」という日本語が間違っているのと同じ理屈。momentは「瞬間」という意味ですからそもそも時間の「単位」であるのに、それにわざわざin time(時間において)までつけてしまっている…要するに、これも「やり過ぎ」故に嫌われているフレーズ、ということです。

Translation

英文と比較して内容をしっかり確認しましょう。

クレアと同僚のケンがオフィスで話をしている。

K: 忙しそうだね、クレア…大丈夫?

C: ああ、もう悪夢!私、24時間ずーっと働いているのよ、もうどれっくらいになるかしら…あー、疲れ過ぎて計算すらできやしない!

K: なんでそもそもそんなに忙しいんだ?

C: テリーがちょっと前のミーティングで言ったこと、覚えてる?まあ、彼の言う,環境問題に関する新コラムはかなりユニークだっていうのは認めるわ。でも、彼の提案が実行可能かどうかっていうとそれはまったくもって別の問題なの。 リチャード(彼らのボス)が彼の案を認めちゃって私を責任者にしちゃったものだから、私は苦労のしどおし…本当に、すごい苦労してるのよ。リチャードに文句言ったんだけど,おありがたいことに「そんなに難しいことじゃないだろう?」なんて言うのよ。

K: あーあ…

C: ケン,本当にミーティングでテリーに企画のことを自慢げに話させるべきじゃなかったのよ。「失礼ですが,あなたの提案はご自分で思ってらっしゃるほど実現するのが容易じゃないと個人的に私は思います」と言ってやるべきだったのよ

K: 今回のこと全体をこういう風に見てみるっていうのはどうだろう?つまり、結局のところ,クレアは実現不可能なことを可能にするはるだから、そうすれば今よりもっと有能な編集者へと成長するってわけ。

C: つまり、今現時点の私よりもさらに有能になるなんてことがそもそも可能だって言うわけね?